交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害)1

交通事故の案件を集中的に多数取り扱ってきた弁護士が,交通事故の被害者となってしまった場合のために,後悔しないように皆様へぜひ知っておいていただきたいことをお話させていただきます。

前回は,「相手方保険会社の担当者と話す際には注意しつつ,正確な情報を適時伝えることが重要である。」とお話ししました。

今回は,「後遺障害とは何か,後遺症との違い」についてお話しします。

主治医や相手方保険会社担当者との話し合いにより,適切な期間の治療を認めてもらい,怪我が幸いにも完治した場合はよいのですが,怪我の内容や程度,被害者のご年齢等の事情で,これ以上治療してもよくならず,今後も持病として症状が残存してしまうことがあります。

この残存してしまった症状のことを,一般的に「後遺症」と呼びます。

そして,自動車事故による怪我で後遺症が残った場合に,相手方加入の自賠責保険会社に対して「後遺障害」の申請をし,認定を求めることができます。

このように,「後遺症」と「後遺障害」は,言葉はよく似ていますが,前者は症状が残っていることを指す一般的な用語であり,後者は自動車事故による「後遺症」のうち,自賠責の審査を経て認定されたもののみを指しますので,厳密には違いがあります。

しかし,この違いについて医師もよく分かっていないことがまれにあり,患者さんに正確に説明できなかったために,「医師から,『あなたの症状は後遺障害にあたる。』と言われたから,私の症状はもう後遺障害として認定されている。」と誤解していらっしゃる方もいるようです。

確かに,主治医から見て後遺症が残っていると判断されなければ,後遺障害診断書を記載してもらえませんので,医師による判断は必要不可欠です。

しかし,医師による上記診断があることは,後遺障害申請のための一要件にすぎませんので,それがあれば必ず認定されるというものではないのです。

次回は,「後遺障害として認定してもらうために必要なもの」についてお話しします。