交通事故で怪我をしたときに注意すべき通院時のポイント5

交通事故を集中的に多数取り扱う弁護士が,交通事故の被害に遭ってしまった場合に備えて,あとで後悔しないように,通院中にぜひ知っておいていただきたいことお伝えいたします。

前回は,「適切な期間の治療を認めてもらうには,医師との十分なコミュニケーションが必要である。」とお話ししました。

今回は,「適切な期間の治療を認めてもらうにはどうすべきか(保険会社編前編)」をお話しします。

よほどのズボラな担当者でなければ,通常は月に1回程度,相手方保険会社担当者が被害者に電話を掛け,今の症状などを聞いてきます。

(最近は,メールやLINEなどで連絡をしてくる保険会社もあるようです。)

担当者の中には,とても親身に相談に乗ってくれたり,事故と関係ないことも話してくれたりと,親切に感じる方も多くいらっしゃいます。

ところが,中には被害者思いなのではなく,被害者を信頼させて治療費支払い打ち切りに有利な事情を引き出そうとする担当者もいます。

例えば,「最近だいぶ暖かくなってきましたね。寒いときよりは少し楽になりましたか。」という問いかけは,体調を気遣っているのではなく,「体が良くなった。」という言葉を引き出すことが目的である可能性があります。

被害者の方としては,「前より良くなっただけで,相変わらず体に痛みはある。」というつもりで,「良くなりました。」と言ったとしても,保険会社担当者としては,「〇月〇日に被害者本人から電話で確認したところ,『体は良くなった。』と聞き取った。」という記録にしてしまい,治療費支払い打ち切りの材料としてしまうのです。

もっとも,このことで「保険会社の担当者はひどい!」というつもりはありません。

相手方保険会社はあくまで相手方が契約する保険会社ですし,さらにはボランティア団体ではなく営利企業ですので,相手方と保険会社の利益のために行動しています。

また,交通事故のような不法行為に基づく損害賠償請求は,本来であれば,その損害を被害者が主張立証しなければなりません。

つまり,被害者が何もしなくても,加害者やその保険会社が被害者の利益のために頑張ってくれ,必要な治療を受けさせてくれたり,ひいては適正な額の損害賠償金を提示してくれたりといったことは,残念ながらあり得ないのです。

では,一体被害者としてはどのように保険会社担当者と向き合う必要があるのでしょうか。

それについては,次回の「適切な期間の治療を認めてもらうにはどうすべきか(保険会社編後編)」でお話しいたします。

追記

弁護士法人心は新しく四日市法律事務所をオープンいたしました。

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