交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント8(後遺障害申請の手続き)

3月は、毎年交通事故が多い傾向にあると言われています。

師走ほどではないにせよ、年度末ということで慌ただしくなってしまうからでしょうか。

例年とは違い、最近では新型コロナウイルスの影響で対面での挨拶回りなどは減っているようですので、交通事故で大変な思いをされている方のご相談にたくさんのってきた弁護士としては、今年は交通事故件数が少なくなってほしいと思います。

前回は、「後遺障害として認定してもらうために注意すべきこと」として、「ごく軽微な事故の場合は、後遺障害として認定される可能性が極めて低い。」とお話ししました。

今回は、「後遺障害申請にはどれくらい時間がかかるのか」その1として、まず申請のための資料収集にかかる時間についてお話しします。

後遺障害申請に最低限必要な書類については、私の過去のブログ(交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害)2)でお話しました。

そのうち、⑤自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書と、⑥事故で通院したすべての医療機関の診断書,診療報酬明細書については、病院が作成する書類であるため、取り付けに時間を要する場合があります。

後遺障害診断書は、症状固定となった時点で医師に白紙の後遺障害診断書用紙を渡して記載をお願いすることになります。

かかる費用と期間は病院によりそれぞれですので、具体的には直接病院に確認していただくことをお勧めいたしますが、一般的には料金は5000円から1万円、期間は2週間から1か月程度のところが多いようです。

なお、この後遺障害診断書の費用は、後遺障害が認定された場合に限り相手方に請求することが可能です。

経過診断書及び診療報酬明細書とは、病院が保険会社に対し毎月提出する、通院の経過や症状の内容、診療内容とそれに対応する報酬について記載された書面です。

これらは、交通事故の治療で通院したすべての病院につき、初診から症状固定日までのすべての期間につき必要となりますが、上で述べたように通常は保険会社が原本を持っているので、その写しを保険会社から取り寄せる必要があります。

その月の経過診断書等は翌月の半ば頃に保険会社へ提出する病院が多いので、早ければ症状固定日の翌月末には保険会社から取り寄せることが可能ですが、中には数か月掛かってようやく出してくるズボラな病院もあります。

そういった場合、病院に対して早く出してほしいと催促することは可能ですが、こちらが高圧的な態度を取ったことで診断書に適当な記載をされても困りますので、運悪くズボラな病院に当たってしまった場合は、やんわりと頻繁に催促するしかないというのが実情です。

このように、後遺障害申請書と経過診断書、診療報酬明細書のすべてが揃うのは、最速で症状固定日の翌月末、遅いと2か月ほど掛かることになります。 次回は、申請してから認定結果が出るまでの期間と行われる手続きについてお話します。