交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント13(示談までの流れ)

かなり暑い日が増えてきて、暑いのが苦手な私に厳しい季節がやってきました。

弁護士法人心の池袋駅法律事務所は池袋駅からすぐ近くで、かつ地下道を通れば直射日光も避けられるので、通勤はだいぶ楽なのですが。

前回は、「絶対に示談書は焦って返送してはいけない。」ということをお話しさせていただきました。

今回は、どうして示談書に納得しないまま示談書を返送してしまうのか、その原因について考えてみたことをお話しいたします。

弁護士に依頼せず、被害者ご本人で相手方保険会社とやり取りをしていらっしゃる場合、治療終了又は後遺障害の結果通知から約一か月後を目安として、相手方保険会社から連絡書とともに示談書と損害額の内訳が書かれた書類が送られてきます。

損害額の内訳には、交通費や治療費、傷害慰謝料といった項目ごとの金額が記載され、備考欄には「弊社基準にて計算いたしました。」、「自賠責基準と比較して、高い方を採用いたしました。」などの記載とともに、通院日数等に応じたよく分からない計算式が載っていることがほとんどです。

そして、連絡書には、示談書を〇月〇日までに署名捺印して返送すること、この損害額の計算は今回の示談限りであり、納得しないなら裁判ではこれより低い金額しか提示しない可能性もあること等が記載されています。

この連絡書の記載を読むと、一般の方の中には「この提示された金額で示談しないと、損害賠償金がもらえなくなったり、または裁判になって余計に損をしてしまったりするかもしれない。提示の内容を見る限り、よく理解はできないが何らかの根拠に基づいてきちんと計算してあるようだし、早く示談したほうがいいのかもしれない。」と考えてしまう人も少なからずいるのではないかと思います。

ところが、示談書を期限内に返送しなくても、消滅時効に掛からない限り、損害賠償金を受け取ることができます。

(交通事故で怪我をしたことに対する損害賠償金の時効消滅は、症状固定日から5年ですが、症状固定日については治療の必要性や相当性の観点からのちに争われて前倒しになることがありますので、念のため事故日から5年と数えておくと安心です。)

この期限は、相手方保険会社の担当者が、早く案件を終わらせたいがために設定しているだけですので、法的には何の意味もありません。

ですので、相手方保険会社が指定した期限は無視していただいて構いませんし、担当者から急かされたとしても、「今検討中です。」とだけ返答していただければ、(年単位で放置している等でなければ)基本的には問題ありません。

ところが、焦って示談書を相手方保険会社に返送してしまうと、いくら後から「そんなつもりじゃなかった!」と言って担当者に抗議しても、それを覆すことは困難です。

当法人にいただくご相談にも、返送してしまった示談書を撤回したいといったものが年に何件かございますが、事情をお伺いする限り撤回できないケースであることがほとんどです。

ですので、もし提示された金額に少しでも疑問点があるのであれば、弁護士に一度ご相談ください。

当法人は、「示談金チェック」として、相手方保険会社から提示された損害賠償額が適正かどうか、無料でお調べすることができます。 お調べした結果、ほとんど上昇の見込みがないか、弁護士費用の観点から見てプラスにならない場合は、その旨正直にお伝えさせていただきますので、少なくとも相談して損をすることはありません。