交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害逸失利益③)

段々とジメジメした日が増えてきましたね。
昔は雨の日があまり好きではなかったのですが、弁護士になった一年目にかなり奮発してよい傘を購入してから、雨の日がむしろ楽しみになりました。

なりたてほやほやの新人弁護士には痛い出費だったのですが、大事に使うのでどこかに置き忘れて無くすこともないですし、丈夫なので壊れることもなく、もう十分に元は取れたのかなとも思います。

前回は、損害額の計算を相手方保険会社任せにしていると後遺障害逸失利益が低く見積もられてしまうケースの一つ目として、労働能力喪失期間の算定についてお話ししました。
今回は、相手方保険会社任せにしていると後遺障害逸失利益が低く見積もられてしまうケースの二つ目として、基礎年収をいくらとするかについてお話しします。

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が生じたことで労働能力が一部または全部失われ、それによって本来将来にわたって獲得できるはずであった賃金等の収入を失ったことに対する補填です。
そして、将来にわたって獲得できるはずであった収入の算定は、原則として事故当時の実際の収入額を基礎として計算するのが明確ではありますが、後遺障害逸失利益は将来の長期間にわたる所得の問題であり、特に日本は年齢が上がれば上がるほど収入も上がっていくという年功序列制度がまだ強いため、将来にわたって事故当時の低い収入額を基礎とするのが相当ではない場合があります。
そのため、おおむね30歳未満の若い方については、賃金センサスの全年齢平均賃金を用いるのを原則とするのが裁判所の考え方です。

ところが、保険会社は、そのような方針を知ってか知らずか、若い方の逸失利益の計算でも当然のように事故当時の低い収入額を基礎とした提示を出してきます。
ここでそのまま納得して示談してしまうと、後遺障害逸失利益の金額が下手をすると数百万近く変わってしまうケースもあるのです。

次回は、死亡慰謝料についてお話しします。