交通事故の損害賠償について~その9

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その9」として、「自宅改造費」についてお話をさせていただきます。

まず前提として、自宅改造費が問題となるのは、基本的に相当に重い後遺障害が残ったような場合に限られます。

例えば、交通事故によって足が動かなくなってしまって、車イスでの生活を余儀なくされた場合や身体が麻痺してしまい自分で階段の上り下りをしたり浴室で身体を洗ったりトイレで排泄をしたりなどが自由にできなくなってしまったような場合に問題になる賠償項目です。

上述した例に挙げたような重い後遺障害が残ってしまったことにより、今まで通りの自宅では生活ができなくなってしまったような場合には、その症状に応じて自宅を改造し、住めるようにするために必要かつ相当な費用は相手方保険会社に対して賠償を求めていくことができます。

もっとも、自宅改造費については金額が大きくなりがちであるため、相手方保険会社においてすんなりと賠償が認められることは必ずしも多くありません。

そのため、どのような症状が残ってそのためにどうして自宅の改造が必要であるのかを丁寧に証明していく必要があるでしょう。

次回は、交通事故の損害賠償における「後見等関係費用」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その8

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その8」として、「装具・器具等購入費」についてお話をさせていただきます。

装具・器具等購入費とは、例えば、事故によってしばらくの間車イスや松葉杖が必要になったような場合のレンタル代や義手や義足などが必要となった場合の購入費などがこれにあたります。

基本的には医師の判断で必要とされた、装具や器具については賠償の対象となる一方で、医師の指示がないものについては補償の対象にならない可能性が高いので注意してください。

この装具・器具等購入費については、実際に症状固定日までにかかった費用のみならず、将来においても継続的に必要であると認められる場合には、将来にわたってかかり続ける費用についても賠償を請求することができます。

その場合には、実際に購入等をした場合の費用を元に、今後何年ごとに買い替えることになるのか等を算出し、相手方に支払いを求めていくことになります。

ですので、装具や器具を購入した際の領収書は必ず保管して、相手方に請求する際には証拠として使えるよう準備しておくことが重要です。

次回は、交通事故の損害賠償における「自宅改造費」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その7

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その7」として、「通院交通費」についてお話をさせていただきます。

交通事故のために通院を行った際の交通費は、通院交通費として相手方に損害の賠償を求めることができます。

電車やバスなどの公共交通機関を使った場合には、その実費が補償されるので、使用した交通手段は記録に残しておくと良いでしょう。

自家用車を使って自宅から医療機関に往復したような場合にはその往復の距離に対応するガソリン代相当額が、会社からの帰宅時に通院したような場合には本来の帰宅経路との差分の距離に対応するガソリン代が補償されます。

また、通院時に駐車場代がかかった場合には、その分も請求が可能なので、領収書を保存しておくように気を付けてください。

通院についてタクシーを利用した場合については、たとえば足を骨折して運転もできず公共交通機関も利用できないような例外的な場合に限って交通費の対象となります。

タクシーを使って通院をする場合には、事前に相手方保険会社の了承を得ておいた方が安全です。 次回は、交通事故の損害賠償における「装具・器具等購入費」についてお話させていただきたいと思います。

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