交通事故の損害賠償について~その10

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その10」として、「後見等関係費用」についてお話をさせていただきます。

後見関係費用が問題になるのは、交通事故の被害者が高次脳機能障害などで自ら有効な意思表示ができなくなってしまい、法律上有効な意思表示を行うために成年後見の申立てを行った場合です。

高次脳機能障害については、その症状の重さや程度はケースによって様々ですが、重篤なものだと寝たきり状態になってしまったり、記憶が亡くなってしまったりするようなものがあり、このような状態では法律上有効な意思表示をすることができないため、被害者本人に代わって責任をもって意思表示を行うことのできる成年後見人をつける必要があります。

成年後見の申立ては裁判所に対して申立てのための費用を払って申立てを行わなければならず、家族が成年後見人に着任するケースを除いては、後見人に対する報酬の支払いが必要になります。

そのため、重篤な高次脳機能障害の後遺障害が認定されたような場合には、被害者本人またはその家族において、後見に関係する様々な費用を負担することになるため、この費用を相手方保険会社に対して賠償請求することが可能です。

次回は、交通事故の損害賠償における「給与所得者の休業損害」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その9

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その9」として、「自宅改造費」についてお話をさせていただきます。

まず前提として、自宅改造費が問題となるのは、基本的に相当に重い後遺障害が残ったような場合に限られます。

例えば、交通事故によって足が動かなくなってしまって、車イスでの生活を余儀なくされた場合や身体が麻痺してしまい自分で階段の上り下りをしたり浴室で身体を洗ったりトイレで排泄をしたりなどが自由にできなくなってしまったような場合に問題になる賠償項目です。

上述した例に挙げたような重い後遺障害が残ってしまったことにより、今まで通りの自宅では生活ができなくなってしまったような場合には、その症状に応じて自宅を改造し、住めるようにするために必要かつ相当な費用は相手方保険会社に対して賠償を求めていくことができます。

もっとも、自宅改造費については金額が大きくなりがちであるため、相手方保険会社においてすんなりと賠償が認められることは必ずしも多くありません。

そのため、どのような症状が残ってそのためにどうして自宅の改造が必要であるのかを丁寧に証明していく必要があるでしょう。

次回は、交通事故の損害賠償における「後見等関係費用」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その8

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その8」として、「装具・器具等購入費」についてお話をさせていただきます。

装具・器具等購入費とは、例えば、事故によってしばらくの間車イスや松葉杖が必要になったような場合のレンタル代や義手や義足などが必要となった場合の購入費などがこれにあたります。

基本的には医師の判断で必要とされた、装具や器具については賠償の対象となる一方で、医師の指示がないものについては補償の対象にならない可能性が高いので注意してください。

この装具・器具等購入費については、実際に症状固定日までにかかった費用のみならず、将来においても継続的に必要であると認められる場合には、将来にわたってかかり続ける費用についても賠償を請求することができます。

その場合には、実際に購入等をした場合の費用を元に、今後何年ごとに買い替えることになるのか等を算出し、相手方に支払いを求めていくことになります。

ですので、装具や器具を購入した際の領収書は必ず保管して、相手方に請求する際には証拠として使えるよう準備しておくことが重要です。

次回は、交通事故の損害賠償における「自宅改造費」についてお話させていただきたいと思います。

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