交通事故の損害賠償について~その12

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その12」として、「個人事業主の休業損害」についてお話をさせていただきます。

個人事業主の休業損害は、非常に難しい問題が多くあります。

個人事業主は、仕事をするまたはしない、するとしてどの程度するのかなどを良くも悪くも自分自身で決められるところがあり、また、給与所得者と異なり、何日何時間働いたらいくらの報酬が出ると決められていません。

業種によっては、時期によって売上や利益にも大きな差があることもあり、経費についても経費にできる範囲や金額が大きく異なってきます。

そのため、個人事業主の休業損害については個別のケースごとに具体的な立証を求められることが少なからずあります。

請求において、基本的に考えられるのは、事故の前年と事故にあった年でどのくらい売り上げや利益に差が出ているのか、そのうち交通事故の原因が何パーセントあるのかを証明するという方法ですが、かなり難易度が高いものになります。

自賠責保険においては、その立証が難しい場合1日あたり6100円で計算をする方法が採用されています。

来年になりますが、次回は、交通事故の損害賠償における「主婦の休業損害」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その11

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その11」として、「給与所得者の休業損害」についてお話をさせていただきます。

会社員などの給与所得者の方が、交通事故による怪我の通院のために仕事を欠勤した場合や有休を使用した場合には、その休業をした分について休業損害を請求することができます。

休業損害を請求する際には、事故前年度の源泉徴収票および勤務先に記載をしてもらった休業損害証明書を提出する必要があります。

休業損害については、休業をしたら当然に補償されるわけではなく、事故の大きさや怪我の程度・症状等を踏まえて、休業する必要性・相当性があったのかというのが支払いを受ける上でのポイントになることに注意してください。

例えば、入院等で一切仕事ができないような場合には長期にわたって休業損害が支払われる可能性が高いといえますが、小さい事故で軽いむちうちになったような件では長期間に及ぶ休業の補償はされないこともあり得ます。

もっとも、無理に仕事に出てさらなる怪我をしてしまってはいけませんので、お身体のことを一番に調整するようにしてください。

次回は、交通事故の損害賠償における「個人事業主の休業損害」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その10

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その10」として、「後見等関係費用」についてお話をさせていただきます。

後見関係費用が問題になるのは、交通事故の被害者が高次脳機能障害などで自ら有効な意思表示ができなくなってしまい、法律上有効な意思表示を行うために成年後見の申立てを行った場合です。

高次脳機能障害については、その症状の重さや程度はケースによって様々ですが、重篤なものだと寝たきり状態になってしまったり、記憶が亡くなってしまったりするようなものがあり、このような状態では法律上有効な意思表示をすることができないため、被害者本人に代わって責任をもって意思表示を行うことのできる成年後見人をつける必要があります。

成年後見の申立ては裁判所に対して申立てのための費用を払って申立てを行わなければならず、家族が成年後見人に着任するケースを除いては、後見人に対する報酬の支払いが必要になります。

そのため、重篤な高次脳機能障害の後遺障害が認定されたような場合には、被害者本人またはその家族において、後見に関係する様々な費用を負担することになるため、この費用を相手方保険会社に対して賠償請求することが可能です。

次回は、交通事故の損害賠償における「給与所得者の休業損害」についてお話させていただきたいと思います。

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