交通事故の後遺障害について~その4

こんにちは、弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の後遺障害について~その4」として、後遺障害の認定において重視される要素についてお話をさせていただきます。

後遺障害の認定の判断をするのは、通院先の医師ではなく、後遺障害の認定機関である旨はこの前お話させていただきました。

後遺障害の認定機関は、医師ではないので被害者の身体を直接見るわけではありません。

交通事故における様々な要素を書面審査して、後遺障害として認定するかどうかを決めています。

その後遺障害の認定機関において、いくつか認定において重視している要素がありますので、今回はその点についてお話します。

1点目は、どのような状況の交通事故か、という点です。

この点は、ネガティブチェック的な判断要素となっており、以下に示すような「一般的に軽い形態であると考えられる事故」に該当する場合には、かなり後遺障害の認定を受けるのが難しくなります。

具体的には、①駐車場内での事故、②逆突(相手方がバックしてきてこちらにぶつかってきたケース)での事故、③ミラー接触での事故、④クリープ現象による衝突事故、のいずれかに該当する場合には、よほどの例外的な事情がない限り後遺障害として認定されることはありません。

次回は、後遺障害の認定において重視される要素の続きについてお話させていただきます。

交通事故の後遺障害について~その3

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の後遺障害について~その3」として、後遺障害の認定を受けるための「被害者請求」という方法についてお話をさせていただきます。

前回、後遺障害認定の申請の方法として、「事前認定」という方法についてお話しました。

この方法は楽ではありますが、適切な認定を受けるために十分な証拠に基づいて判断されているかがわからないデメリットがあるとご説明しました。

もう1つの方法である「被害者請求」という方法は、ご自身または依頼をした弁護士の方で後遺障害の申請に必要な資料を準備して、認定の申請を行う方法になります。

この方法のメリットは、自分または依頼した弁護士が申請を行うので、認定のために有利になる資料を添付して申請を行うことで、適切な後遺障害の認定を受けやすいことにあります。

デメリットとしては、自分で申請の準備をするとなると必要な資料を集めるのが大変ということにあります。

もっとも、ご自身が依頼した弁護士に被害者請求を任せた場合には、そのてつづきのほとんどを弁護士に任せることができるので、それほど大変さを感じることはないと思われます。

弁護士費用特約が付いている保険に加入しているのであれば、弁護士に手続きを依頼したとしても、自己負担なく弁護士を使うことができるケースが多いので、弁護士に被害者請求を任せるという選択が取りやすいかと思います。 次回は、後遺障害の認定において重視される要素についてお話をさせていただきます。

交通事故の後遺障害について~その2

弁護士の田中浩登です。

東京は2月なのに春並みの暖かさですね!

さて、今回は「交通事故の後遺障害について~その2」として、後遺障害の認定を受けるための申請の方法についてお話をさせていただきます。

後遺障害認定を受けるための申請方法には2つあります。

1つは「事前認定」という方法で、もう1つは「被害者請求」という方法です。

まず、事前認定という方法ですが、この方法は、通院が終了した際に相手方保険会社に「後遺障害の申請をして欲しい」旨を伝えて、相手方保険会社に後遺障害の申請を行ってもらう方法になります。

事前認定の方法の一番のメリットは、楽であることです。

ご自身の方でほとんど動かなくても自動的に相手方保険会社が手続きを行ってくれるので、結果を待つだけで良いのです。

もっとも、事前認定にはデメリットもあります。

それは、すべての手続きを相手方保険会社に任せるため、どんな資料をもとに後遺障害の判断がされたのかがわかりません。

十分な証拠が提出されていればいいのですが、適切な認定を受けるためには不十分な資料のみで申請が行われてしまった結果、後遺障害として認定されないケースも少なからずあります。 次回は、もう1つの方法である「被害者請求」についてお話させていただきます。

交通事故の後遺障害について~その1

昨年は皆様に大変お世話になりました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、私は、交通事故を集中的に取り扱う弁護士として年に400件ほど交通事故のご依頼をいただいておりますが、交通事故のご相談の中でかなり質問をいただくのが「後遺障害」についてになります。

今回から数回に分けて、交通事故の後遺障害についてお話をさせていただこうと思います。

まず、交通事故における後遺障害とは何かについてご説明させていただきます。

交通事故における後遺障害とは、交通事故によって怪我をしてしまい、その怪我について半年以上通院治療を継続しても、一定程度の症状が残ってしまい、その後治療を継続しても一進一退の状況が続いてしまった場合に、交通事故の相手方の自賠責保険に後遺障害の認定の申請を行い、今後将来にわたって継続する症状として認定を受けることができたもののことをいいます。

厳密な話をすると非常にややこしい話になってしまいますが、交通事故の怪我をした時点で後遺障害が決まるわけではないこと、通院先の医師が後遺障害の認定をするわけではないことは知っておいていただけると良いと思います。 次回は、後遺障害の認定を受けるための申請の方法についてお話させていただきたいと思います。

交通事故に遭った!まず何をする?その10

今年もあと残すところ半月となりましたね。

例年、この時期は、年末に向けて解決に向かう事件も多く、ありがたいことに弁護士としてもかなり多忙なことが多いです。

年内にできることはすべて終わらせて、すっきりした気持ちで新年を迎えたいですね。

さて、今回は「交通事故に遭ったらいつ弁護士に相談すべきか」の続きをお話させていただきます。

前回は、その答えとして「弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほど良い」として、その理由として、早期に証拠を確保しておくため、とお伝えしました。

もう一つの理由は、「早い段階であれば、通院の仕方をアドバイスできるから」です。

しっかりと病院等に通院をしていれば何も問題はないのですが、通院から数か月経ってからご相談をいただくと「どうしてこんな通院をしてしまったんだ…」と正直手遅れな件も残念ながら少なくありません。

たとえば、1回も病院への通院がないまま、鍼灸治療を受けている件等は、その段階でご相談をいただいても、弁護士が相手方保険会社と交渉しても適切な補償を受けることは難しいと言わざるを得ません。

早い段階でご相談をいただきましたら、どのように通院をすれば保険会社からしっかり治療費を出してもらいやすいかなどアドバイスをすることができます。

今年は、「交通事故に遭った!まず何をする?」シリーズをお話させていただきました。

来年からは、「交通事故の後遺障害について」をお話させていただこうかと考えております。

皆様、良いお年をお迎えください。

交通事故に遭った!まず何をする?その9

最近東京は急に寒くなって、あっという間に秋から冬になってしまったような気がします。

毎年秋になったらお気に入りのカッコいいトレンチコートを着ようと意気込んでいるのですが、気付いたら時機を逸してしまいしょんぼりしている私です。

今月は、交通事故に遭ったらいつ弁護士に相談すべきかについてお話しします。

交通事故にあってしまったとき、どのタイミングで弁護士に相談すればいいのかわからないという方は多いのではないでしょうか

結論からいうと、弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほど良いといえます。

まず一つ目の理由としては、早い段階であれば、証拠の確保がしやすいということが挙げられます。

交通事故から間もない時期であれば、事故現場付近の防犯カメラなどの事故を記録した映像の確保ができたり、目撃証言が得られたりする可能性があります。

相手方と事故状況について言い分が食い違う場合では、映像や証言などの客観的証拠があるか否かで、結論が180度変わる可能性があります。

しかし、事故から時間が経ってしまうと、そのような証拠は失われてしまう可能性が高まります。

事故に遭ったご本人が、肉体的にも精神的にも大変な中で、これらの客観的証拠を収集するのは大変ですし、店舗の防犯カメラなどの場合は一般の方には開示してもらえないケースもありますので、弁護士に依頼したほうがスムーズに進む可能性が高いといえます。

次回は、交通事故に遭ったら弁護士に早く相談すべき理由の二つ目をお話します。

交通事故に遭った!まず何をする?その8

当事務所がある池袋周辺には、電動キックボードのポートがたくさんあるのですが、先日は一般民家の駐車場の一角にポートが設置されているのを見てびっくりしました。

それだけ需要が拡大しているということなのでしょうか。

交通事故をメインで取り扱う弁護士としては、とりあえず事故には気を付けて…とだけ言っておきます。

交通事故にあったらまずどうするかシリーズの第8回目は、前回に引き続き「相手方が分からないときはどうすればよいか?」です。

前回はご自身やご家族の人身傷害保険を利用しようという内容でしたが、今回は「労災保険の利用を検討」です。

お仕事中の事故はもちろん、通勤途中の事故の場合、労災保険の利用が可能です。

労災の申請について、「会社の労災を使ったら会社に不利益があるのではないか?それによって会社内で不当な扱いをされないか?」といったご心配を相談されることがあります。

ところが、通勤災害(通勤中の事故)において会社が労災を申請したとしても、それによって労災保険料が上がるということはありませんので、会社には何のデメリットもありません。

なので、もし心配でしたら、会社に申請をお願いする前に、上記のことを軽く伝えてみるとよいかもしれません。

次回は、「交通事故に遭ったあと、そもそもいつのタイミングで弁護士に相談すべきなのか?」についてお話しします。

交通事故に遭った!まず何をする?その7

9月に入り、ようやく東京も夕方は少し涼しくなってきたような気がします。

今年はあまりの暑さに、暑さ対策グッズをたくさん購入したのですが、そろそろ使わなくてよくなりそうです。

さて、交通事故にあったらまずどうするかシリーズの第7回目は、「相手方が分からないときはどうすればよいか?」です。

交通事故に遭ったとき、普通の常識ある当事者であれば逃げたりはしませんが、中には刑罰を科されることを恐れて逃げてしまう人間もいます。

相手方が誰か分からなければ、相手方の任意保険から治療費の支払いを受けられず治療自体どうすればよいか困ってしまう方もいらっしゃるかと思います。

もっとも、相手方の任意保険を使わなくても、治療費を工面する方法はいくつかあります。

その方法の一つ目が、人身傷害保険特約を利用することです。

ご自身の自動車の任意保険やご家族の任意保険に、「人身傷害保険」という特約が付いているか確認しましょう。

人身傷害保険の内容は、ご加入の保険により異なりますが、契約車両に搭乗中の事故にのみ適用されるものもあれば、中には他者の車両に搭乗中や、自動車事故とは関係ない歩行中や自転車乗車中の事故などの場合でも適用されるものもありますので、事故に遭ったらまずご加入の保険会社へ確認することをお勧めします。

そして、確認の結果ご自身の保険に人身傷害保険特約が付帯していなかったり、利用ができなかったりといった場合でも、ご家族が加入する保険に付帯している人身傷害保険特約を利用できる場合があります。

ここでいう「家族」の範囲は、大抵の場合、①記名被保険者(当該特約の契約者)の配偶者、②記名被保険者またはその配偶者と同居の親族、③記名被保険者の別居の未婚の子、とされています。

なお、②の親族は、「6親等以内の血族」、「3親等以内の姻族」という制限があります。

つまり、例えば一人暮らしをしている独身の大学生の方がひき逃げ事故に遭ったとして、ご実家のご家族がお持ちの自動車の保険に人身傷害保険特約が付帯していれば、それを利用することが可能ということです。

こういったお話をすると、「本当は相手がいるのに、自分の保険を使わないといけないなんて損ではないか。」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

もっとも、通常、人身傷害保険のみの利用の場合はノーカウント事故(等級に影響なし)として扱われるので保険料に影響しませんし、後から相手方が見つかった場合はご自身の保険会社から相手方に請求がされるので、相手方が治療費支払いを逃れられるわけではありません。

なので、まずは安心して人身傷害保険からの支払いでしっかりと治療を受け、怪我を治すことに専念しましょう。

次回は、相手方がわからないときどうするかの二つ目の方法についてお話しします。

交通事故に遭った!まず何をする?その6

皆様、台風の影響は大丈夫でしたでしょうか。

東京では少し雨が降ったものの、大雨にはならなかった印象でした。

さて、本日は「交通事故に遭った!まず何をする?」第6弾として、交通事故での警察対応の話その2をお話させていただきたいと思います。

まず、今回の話をする前に、誤解がないように伝えておくと、基本的に交通事故の処理をしている警察官は大多数、被害者に寄り添ってきちんと適切な処理をしてくれている方々です。

ただ、稀に警察から不適切な対応をされて困って相談をいただくことがあるので、その話をしておきたいと思います。

① 人身事故にすることを拒絶する警察官

警察において、物件事故のままであるか、人身事故にするのかによって、事故の処理としての労力は大きく変わってきます。

基本的に、被害者が怪我をしてしまい、人身事故として処理することを希望すれば、警察の方で人身事故としての処理をしてくれることになります。

しかし、中には、人身事故に切り替えるのを面倒くさがってか、人身事故にすることについてあれこれ理由を付けて拒絶する警察官がいます。

少なくとも、事故直後のタイミングであれば、警察で人身事故処理することを拒絶できる法的な根拠はないので、自信をもって人身事故の切り替えを依頼すべきです。

② 加害者側の言い分に沿った陳述書を作ろうとする警察官

人身事故扱いになった場合、加害者側・被害者側両方とも警察から事故時の状況等について話を聞かれることになります。

その際に話したことは、被害者の陳述書という形で証拠に残ることになります。

基本的には、しっかり言い分を反映した陳述書を作ってくれますが、警察官の中には、加害者の言い分と被害者の言い分が異なっていると処理が面倒だということで「加害者が~といっているから、こういう状況だったんじゃないの」と内容を押し付けてくる方がごく稀にいます。

そのような自分が言っていないことが陳述書にされそうになった場合は、訂正を依頼すべきであり、訂正してもらえないならサインするのを拒絶すべきです。

後になってから、そう思ってなかったけど訂正するのが面倒くさいからサインしてしまったなどという言い分は通らないので、気を付けてくださいね。

交通事故に遭った!まず何をする?その5

最近の東京は暑すぎます。

毎日祈るような気持ちで(今日こそは過ごしやすい気温であってほしいとの願いを込めて)天気予報を見るのですが、ほぼ毎日その祈りもむなしく非情な気温が表示され、日々打ちひしがれています。

ところで、今日のブログは、交通事故に遭ったらどうするか第五弾として、警察でどうすればよいのかについてお話しします。

日々のご相談のうち、交通事故での警察での対応で一番よく聞かれるのが、「人身事故にすべきか、物件事故でもよいのか。」です。

交通事故で怪我をしてしまった被害者の方に対し、相手方保険会社の担当者から、「物件事故のままでも問題なく損害賠償金は支払われますので、あえて人身事故にしなくてもよいですよ。人身事故にすると実況見分などで時間を取られるので面倒ですよ。」などと言われたり、相手方本人から「免許の点数に響くので物件事故のままにしてほしい。物件事故のままにしてくれたら賠償は上乗せして払う。」と言われたり(十中八九示談で上乗せなんかしてくれないので信じないように!)、はたまた警察で「人身事故にするには当事者双方が警察署に来なくてはならないので、被害者の方だけが来ても対応できません。加害者の方を説得して一緒に来てください。」などと言われたりすることもあります。

これらの発言を聞くと、面倒くさそうだし、とくにデメリットがないなら物件事故のままでよいかなと思ってしまいそうになりますが、ちょっと待ってください。

結論から先に話すと、被害者側であれば人身事故にしておくのがオススメです。

人身事故と物件事故で何が違うのかと言うと、加害者側の観点からすると、人身事故になると、免許の点数に響いたり(行政罰)、ひどい事故対応だと刑事責任が問われたりすることがあります。

つまり、ぜひ加害者側としては人身事故は避けたいところです。

では、被害者側からはどうでしょうか。

人身事故にしておくと、「実況見分」がされて、警察によって事故状況がきちんと記録されます。

実況見分調書では、事故状況についての現場見取図が作成され、衝突の位置などが数値とともに記録されるだけでなく、事故状況についての双方の言い分が記録されます。

そのため、事故状況について争いがある際に、現場見取図をもとに過失を立証することが可能なだけでなく、加害者が事故状況について言い分を変えてくるのを防ぐことができます。

さらに、人身事故にせず、物件事故にしておくと、後遺障害が問題となったときに軽い事故と判断される可能性が高まります。

後遺障害の認定において、後遺障害の有無や程度を判断する大きな要素として、「後遺障害は生じるほどの大きな事故だったか。」という要素があります。

一般的に、大きな事故でそれなりの怪我を負ったならば、人身事故として届け出をするだろうという推認が働くことから、物件事故のままということはそこまで大きな事故ではなかったのではないかと考えられてしまう恐れがあります。

したがって、半年以上痛みが続きそうな大きな怪我を負った場合には、人身事故にしておくのが安全といえます。

最後に、よく警察で言われることとして上に挙げた、「被害者と加害者が両方一緒に来ないと実況見分ができない。」というのは誤りです。

もしそうだとしたら、ひき逃げの場合はどんなに怪我がひどくても人身事故にできず実況見分調書も作成されないことになってしまいます。

もしそう言われた場合はこのブログを思い出して「弁護士がそんなことはないと言ってました。」と自信をもっておっしゃってくださいね。

交通事故に遭った!まず何をする?その4

6月に入って、信じられないくらい暑い日もあれば、雨で急に寒くなる日がある難しい気候になりましたね。

皆様はお身体壊したりはしていないでしょうか。

私自身、すこし風邪をひいてしまい、最近少し喉が痛いです。

本日は交通事故にあってしまった場合の通院の仕方について、お話をさせていただければと思います。

まず、弁護士として必ず伝えておきたいことは「身体で痛いところがあるのであれば、必ず整形外科に通院をすること」です。
交通事故の場合、多くのケースでは相手方の保険会社が治療費を支払ってくれます。

しかし、治療費の支払い(保険会社では「一括対応」と呼びます。)は保険会社としてはサービスで行っているものであり、どこまで治療費を支払うかは保険会社が判断して決めることになります。

なるべくしっかり保険会社に治療費を支払ってもらうためには、しっかり整形外科にかかって、医師に身体の状態を把握してもらい、それを保険会社に伝えてもらうことが重要です。

通院頻度は、主治医の先生と相談して決めることではありますが、整形外科のリハビリのみを受けるのであれば、最低週2回程度、他の医療機関での治療を受ける場合でも、2週間に1回は通院をしておけると、保険会社からもしっかり通院していると認識してもらいやすいと思います。

また、交通事故においては接骨院で治療を受けることもできます。

ただし、通院するにあたっては、整形外科で接骨院に通院することをしっかり話しておいた方が、後々保険会社から接骨院の治療費の件でトラブルになることが少ないです。

接骨院はたくさんあるので、先生とお話して交通事故に詳しい、しっかりした対応ができる先生のところを探して通院すると良いでしょう。

交通事故に遭った!まず何をする?その3

ゴールデンウィークはあんなに暑くてぐったりしたのに、最近の東京は雨で寒い日が多いですね。

皆様寒暖差で体調を崩したりしていないでしょうか?

今回は、交通事故に遭ったらまずどう動くべきかの第三弾として、病院での症状の伝え方についてお話しします。

これは、法律とはまったく関係のない話に思えますが、交通事故案件の解決と病院での治療は切っても切れない関係にあり、適切な治療を受けられないと怪我が治らないだけでなく最終的な賠償額にも影響してくる可能性があります。

そして、適切な治療を受けるには、病院で自身の症状を医師にどう伝えるかが非常に重要となるのです。

1.病院では、痛いところをすべて伝えること
初診時にとりあえずここだけと、一番痛いところだけ伝えるのはNGです。

なぜなら、医師からすれば患者さんから痛いと言われていないところは「痛くないところ」と認識されてしまうからです。

そして、その伝えていない部位の痛みが後から非常に強くなったとしても、「初診時には痛みを訴えていなかったのに後から痛いと言ってきたということは、事故とその痛みは無関係の可能性がある。」として、その部位につき相手方任意保険から治療費が支払われない可能性があります。

もし初診時に動揺して伝え忘れた部位があった場合、できれば事故から2週間以内に再度受診して痛いところをしっかり伝えてください。


2.医師の質問に対しては、端的に答えること
 医師から「どこが痛いですか?」と尋ねられたら、「首と腰と右肩が痛いです。」のように、質問には端的に答えた方が良いです。
 中には「どこが痛いですか?」と聞かれているのに、「何年前にどこどこを怪我して、今回の交通事故でこんな風にぶつけたのか、最初は痛くなかったけど、2日後くらいからだんだん気になりだして…」と言った感じで身の上話を始めてしまう方がいらっしゃいます。
 特に整形外科は患者さんの人数も多く、対応する医師の方も忙しいので、そういう人に対してはハイハイと話をあしらわれてしまい、結果として自身の症状を伝えられないままになってしまうことが多いようです。

そうならないためにも、受診前に最低限話すべきメモを作っておくと良いです。

例えば、

・いつの事故か

・どのような事故か(自動車に乗車中とか、歩行中など。相手が一時停止しなかった…など、詳しい事故状況は不要です。)

・痛い所はどこか(少しでも痛いところはすべてピックアップしてください。)

だけでもメモしておけば、少なくとも初診時に伝えるべき内容は医師に伝えられます。


3.いつも痛いところについては、きちんと「いつも痛い」と伝えておくこと
 カルテの記載は簡単なものになるので、きちんと毎回痛いと伝えておかないと、誤解されて治ったと記載されることがあります。

また、痛みを伝える際、いつも痛いが朝起き上がる際は特に痛いという意味で、「朝起き上がるときにすごく痛くて…。」などと伝えると、医師としては「普段は痛くないが、朝起き上がるときだけは痛い。」と、全く違う意味に捉えられる可能性が非常に高いので、いつも痛い場合は必ず言葉を省略せず、いつも痛いことをきちんと伝えましょう。
 

交通事故に遭った!まず何をする?その2

東京は桜もすっかり散り、最近は暖かいを通り越して暑いと感じる日も多くなってきましたね。
最近は気候が良いので土日に自転車に乗って少し遠出をすることもあるのですが、以前のブログで触れたように自転車に乗車する際はヘルメットの着用が努力義務化されたため、帽子にも見えるおしゃれな自転車用ヘルメットを購入しました。
実は、司法修習中にもサイクリングを楽しもうと思い、割と本格的は自転車用のヘルメットを購入して使用していたのですが、最近は使う機会もないかなと思って一年ほど前に手放してしまっていました。
ヘルメットの着用が義務化されると知ったとき、それなら手放さなかったのに…と残念に思ったのですが、古いものは経年劣化もあったでしょうし、おしゃれな帽子風ヘルメットも手に入ったので、結果としてはよしとしています(本当はやっぱりちょっと悔しい…)。

さて、前回のブログで、交通事故に遭ったらどうするかをお話ししました。
今回は、その続きとして、交通事故による怪我で病院に行く際のお話をします。
まず大前提として、交通事故で怪我をしたら、なるべくすぐ、できれば当日中に病院へ行ってください。
頭部などを負傷していた場合、気付かないうちに脳内出血が広がって命に係わる事態となることもありますが、すぐに受診し検査を行うことで、そのような可能性を少しでも減らすことができます。
また、今繁忙期だから仕事を休みたくないと考えたり、痛いから家でちょっと休んで体調が良くなってから行こうなどと考えたりする方が実は多いのですが、このような行動は後から自身に不利な誤解を招く恐れがあります。
例えば、治療費を支払う立場である相手方の任意保険会社から、「事故後すぐに病院に行っていないということは、症状がそこまでひどくないか、もしくは症状がほとんどなかったに違いない。」と勘違いされた結果、治療費の支払いが不当に短い期間で打ち切られてしまう可能性があります。
さらに、交通事故から初回の受診までの期間が空きすぎてしまうと、交通事故の後に別の要因で怪我をした可能性を排除できないとして、事故と怪我との因果関係が否定され、治療費の支払い自体が拒否されてしまう可能性もあります。
これらのことから、交通事故後に少しでも体のどこかが痛いなどの症状があるならば、必ずすぐに病院を受診してください。
次回は、病院でどのように症状を伝えるべきかについてお話しします。

交通事故に遭った!まず何をする?

弁護士の田中です。
最近の東京は3月だというのに暑すぎじゃないでしょうか?
ついこの間までコートを着ていたというのに、最近ではシャツ一枚でもいいのではと思うほどの陽気ですね。
先日、家族の行事ごとで大きな紅白餅を食べる機会があり(大変大きいので食べきれず一部はまだ冷凍してあるくらいの大きさなのです!)、餅好きの私は毎日ウッキウキなのですが、暖かくなってきたことで家族は焼いた餅を食べる気分ではなくなってしまったそうで、最近はひとりで餅をせっせと焼いて美味しくいただいています。
つきたてで冷凍したので、焼くとスーパーで売っている普通の切り餅とは比べ物にならないほど柔らかく伸びて、それはそれは美味しいです!

ところで、この春高校を卒業して、自動車の免許を取る方も多いと思います。
どれだけ気を付けていても、運が悪ければ巻き込まれてしまうのが交通事故ですので、ここで交通事故にあったらまずその日のうちに何をすべきか、最低限のポイントだけまとめたいと思います。

①移動が可能であれば、路肩など安全な場所に移動
道路上にいるままだと、第二、第三の事故を招きかねないためです。
②警察へ事故の連絡
「大した事故じゃないし…。」などといって警察に連絡しないままにしていると、その後任意保険が使えない事態になりかねないですし、そもそも事故の報告は道路交通法72条1項後段に定められた車両運転者の義務です。
③自分や相手、巻き込まれた方などが怪我をしていれば救急車を呼ぶ
負傷者の救護は、道路交通法72条1項前段に定められた義務です。
④相手方の氏名や連絡先の確認
任意保険会社へ連絡する際にかならず聞かれますし、もし相手方が無保険の場合は今後相手方と直接やり取りすることになりますので、必ず必要です。
念のため、氏名は漢字込みのフルネームで確認し、電話番号はその場で一度鳴らして確認できるとよりよいです。
ちなみに、のちに弁護士へご相談しようと思っている場合にも、利益相反の確認などで相手方の名前は必須となります。
⑤任意保険会社へ事故の連絡
事故により怪我をして病院を受診する場合、任意保険会社と連絡がついていれば事故当日の受診でも治療費を負担してくれる場合もありますので、治療費の立て替えなどをしなくてすみます。
⑥(怪我をしたが③で救急車を呼ぶほどではなかった場合)病院を受診
事故直後は興奮状態で痛みをそこまで感じないということもありますので、少しでも痛みを感じたら受診し、レントゲン撮影など検査を行いましょう。
忙しいからなどといって放っておいた場合、後から痛くなっても事故との因果関係を否定される可能性があるので注意が必要です。

次回は、事故の当日以降何をすべきかを取り上げます。

雪と冬用タイヤ

先日は東京都心でも雪が降りましたね。
事務所のある池袋も、午前中はうっすら街路樹に雪が積もって、白い幻想的な景色に少しうきうきしました。

そして、白といえば餅ですよね。
先月のブログで私の餅好きをカミングアウトしたところ、身近な何人かから反響があり、「餅の食べ方が砂糖醤油と餅巾着だけなんて、私に言わせれば正直ニワカですね。もっと色々開拓してください。」と、叱咤なのか激励なのかよく分からないコメントをもらいました。
どなたかおすすめの食べ方がありましたらこっそり教えていただけるとうれしいです。

ところで、積雪時の自動車等の運転で気を付けなければならない重要な点は、冬用タイヤの着用です。
積雪又は凍結した路面では、冬用タイヤの装着等いわゆる防滑措置の義務が、沖縄県を除くすべての都道府県道路交通法施行細則又は道路交通規則によって規定されています。
そして、違反した場合は反則金が定められており、大型車は7000円、普通車と自動二輪車は6000円、原付車は5000円となっています。

では、どの程度の降雪で冬用タイヤの着用が必要かについてですが、各都道府県の定めにより若干変わってきます。
ちなみに、東京都の場合は、東京都道路交通規則第8条第6号で、「積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転するときは、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること。」と規定しています。
つまり、雪は降っているが道路上には雪がないという状態であれば、「積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路」にはあたらないので、着用なでは必要ないといえそうです。
もっとも、出発時はそこまで降り積もる予想ではなかったけれども、帰宅時は予想外に積もったという場合や、日中溶けかかったグジュグジュの雪が夜中に凍結する場合なども十分考えられます。
さらに、そのような場合で交通事故を起こしてしまった場合は、冬用タイヤを装着していれば事故を避けられた、又は被害を軽減できたとして過失割合が加算される可能性があります。
東京に住む方は雪道での運転に慣れていない方も多いと思いますので、雪予報の日はなるべく自家用車での出勤を控えるのがベストかと思います。

自転車のヘルメット

新年あけましておめでとうございます。弁護士の田中です。
お正月といえば、「お餅」ですよね。
私は無類のお餅好きで、お正月だけと言わず一年中お餅を食べたいくらいなのですが、家族はそうでもないようで、「え、なんでこんな時にお餅を食べるの?」と怪訝な顔をされて、なかなかお餅を出してもらえないのです。
そんななか、お正月前後の数日間は特に理由を言わなくても大手を振ってお餅が食べられる、私にとっては最高にハッピーな日なのです。
ちなみに、私の好きなお餅の食べ方は、砂糖醤油をつけて海苔で巻く食べ方なのですが、最近餅巾着にもハマっており、お餅の無限の可能性を感じています。

ところで、道路交通法の改正により、今年の4月から年齢を問わず自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が義務づけられることになりました。
以前は、児童又は幼児についてのみ、乗車用ヘルメットをかぶらせるよう保護者が努めなければならないとされていましたが、改正後は全員について乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならないとされています。
努力義務ですので、これに反してヘルメットをかぶらず自転車に乗っても、何か切符を切られたり罰金となったりするわけではありません。
(ちなみに、自転車での違反行為についても、自動車の場合と同じく切符を切られることはあります。ただし、自動車と違い自転車の場合は通称青切符と呼ばれる交通反則通告制度の対象外のため、すべて赤切符となり、反則金で逃れることができずすべて刑事上の責任を問われることになります。)
ただし、交通事故に遭ったときにヘルメットを着用していなかった場合で、怪我とヘルメット不使用との間に因果関係が認められるならば(ヘルメットをしていれば頭部の怪我がより軽かったと考えられる場合など)、損害額につき何割か過失相殺されることが考えられます。

これを聞いたとき、競技用でもない自転車でヘルメットはダサいなと少し思いましたが、探してみると普通の帽子のような見た目のヘルメットもあるようなので、今度買いに行こうかなと思っています。

子どもとの自転車二人乗り

今年もあとわずかになりました。
池袋は至る所がイルミネーションでキラキラしていて、くたくたに疲れ切っていても帰り道は少しだけウキウキします。

今月は、意外と知らずに道路交通法に違反しているかも?という例として、赤ちゃんと自転車について取り上げます。

道路交通法57条2項は、「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。」とし、各都道府県の公安委員会が定めた道路交通規則により自転車の二人乗りは原則として禁止されています。
もっとも、この道路交通規則は、例外的に自転車の二人乗りが許される場合も規定されており、例えば東京都道路交通規則10条1項アからウではその例外として、
①幼児用座席に小学校就学までの以下の子を1人乗せる
②幼児2人同乗用の特別な装置が付いた自転車の幼児用座席に症っ港就学までの子を2人乗せる
③タンデム車に定員以下の人数を乗せる
④三輪車に定員以下の人数を乗せる
⑤抱っこ紐で6歳未満の子をおんぶして乗る
等と定めています。

つまり、幼児用座席に小学生を乗せたり、子どもを前で抱っこして自転車に乗ったりすることは、道路交通法違反となってしまうのです。
そして、このような二人乗りは、重心が不安定になって事故が起きやすく、運転している方も乗せているお子さんも怪我を負う危険性が高まりますので、絶対にやめましょう。

自転車の赤切符

今日11月8日(火)は、皆既月食と天王星食がありました。
東京は天気も良かったので、月がだんだんと赤黒くなっていく様子がよく見えました。
残念ながら、私は目が良くないので天王星が隠れるところは見えませんでしたが、こういうときのために双眼鏡を買っておこうかなと思います。
ちなみに、皆既食中に惑星食が起きるのはなんと442年ぶりだそうで、442年前というと本能寺の変の2年前(1580年)なので、もしかしたら織田信長などの戦国武将も見たかもしれないと思うと、なんだかワクワクしますね。惑星食だけに・・・

ところで、警視庁は先月中旬に、自転車による交通違反の取り締まりを強化し、これまでは警告のみだった違反にも赤切符(告知票)を交付する方針であると発表しました。
特に取り締まりを強化する行為として、「信号無視」、「一時不停止」、「右側通行」、「徐行せず歩道を走行」の四つを挙げています。
近年、交通事故のうち自転車が一方または双方当事者であったものの件数の割合は年々増加しており、警視庁のホームページによれば2016年には32.1パーセントだったものが2021年には43.6パーセントにまで増加しています。
この自転車事故の増加は、ここ最近のデリバリーサービス普及と、それに伴う自転車利用の増加が要因の一つと考えられます。
自動車で速度超過などの際に交付される青切符(交通反則告知書)は反則金を支払えば刑事罰が課されないのに対し、赤切符は裁判が行われ、判決内容によって罰金刑や懲役刑となる、非常に重いものです。
自転車は免許もいらず非常に身近な乗り物ですが、利用する際は交通ルールを遵守していただきたいと思います。

電動キックボード

最近、池袋の当事務所の周辺で電動キックボードのシェアレンタルサービスを非常によく見かけるようになりました。
池袋駅西武口近くのダイヤゲートや、西口のメトロポリタンホテルだけでなく、マンションの駐輪場の脇にもポートが設置されており、ここ数か月で一気に普及したなあと驚いています。

本来、電動キックボードは原動機付自転車扱いであり、ヘルメットの着用が義務づけられています。
ところが、このシェアレンタルサービスの電動キックボードは「小型特殊自動車」という、小型のトラクターやコンバインなどと同じ扱いになっており、ヘルメットの着用は任意となっています。
なぜこのような特別扱いになっているかというと、産業競争力強化法および経済産業省の新事業特例制度による実証実験として、この電動キックボードのシェアレンタルサービスが提供されているからなのです。

そして、小型特殊自動車の場合、制限速度は時速15kmなのですが、これは普通のママチャリが走る速度とほぼ同じと言われています。
ママチャリと同じ速度と聞くと安全そうに聞こえますし、それならノーヘルでも問題ないように思えますが、その多くが歩道を走るママチャリと違い、電動キックボードは車道を走る分、自動車との接触の恐れは非常に高いですし、転倒すれば大けがをする可能性もあります。
電動キックボードを普及させたい国の施策の一環なのでしょうが、交通事故を取り扱う弁護士としては、ヘルメット着用は義務化してもらいたいと思います。

オンライン飲み会にて

最近は夜肌寒い日も増えてきましたね。

私は肩が凝るのが嫌で、ジャケットは依頼者様と会う時か裁判の時しか着ない主義のため、最近はシャツに薄いカーディガンを羽織るのみなのですが、風が強い日はもう少し厚手のカーディガンにしようかな、でも日中はそれじゃ暑いときもあるよな…などと、どうでもいいことで日々迷っています。

とはいえ、私は寒すぎるのがとても苦手なので、これくらいの肌寒さでとどめておいて欲しいなと思います。

ところで、先日司法修習の同期の弁護士たちとオンライン飲み会をしました。

私は普段交通事故の案件を取り扱うことが多いのですが、他の分野に取り組む同期の話は非常にためになりますし、とても刺激を受けます。

その同期に、知的財産法などの著作権関連を主に取り扱う弁護士がおり、話のなかで最近SNS関係でも著作権が問題になる場面が非常に多いという話を聞きました。

私も一応Facebookを使っていますが、中には「読書記録」として本の表紙や中身の写真の画像が投稿されているものがあり、著作権的にどうなのだろうと思うことが少なからずあったので、個人的に非常に興味深い話でした。

その同期に、分かりやすい入門編の本として、『SNS別最新著作権入門』(井上拓先生著、誠文堂新光社)という本をお勧めしてもらったので、今日本屋で購入してきました。

さっそく読んでみたいと思います!