交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害逸失利益②)

5月くらいの気温って、そこまで暑くもなく寒くもなく、とても過ごしやすいですよね。
私は春生まれだからなのか寒いのも暑いのも大の苦手なため、四季なんてなくていいからずっと5月くらいの気候でいてほしいなんて思ってしまうことがあります。

前回は、自賠責から支払われる後遺障害逸失利益は本来受け取れるはずの金額よりかなり少ない可能性があること、損害額の計算を相手方保険会社任せにしていると損をしてしまう可能性があることをお話ししました。
今回は、前回お話ししたポイント以外にも、損害額の計算を相手方保険会社任せにしていると後遺障害逸失利益が低く見積もられてしまうケースの①労働能力喪失期間の算定、についてお話しします。

交通事故における後遺障害の建前としては、症状固定後その症状が今後一生治ることがないことを前提としており、原則として労働能力喪失期間は症状固定時から67歳まで(症状固定時の年齢が67歳を超える場合または症状固定時から67歳までの年齢が簡易生命表の平均余命の2分の1より短くなる場合は、簡易生命表の平均余命の2分の1の期間)です。

ところが、後遺障害として認定される事案の多くを占める、いわゆるむち打ち症状については、裁判所の指針として、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)の場合は5年程度、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)の場合は10年程度に制限する例が多く見られます。
これは、神経症状は器質的損傷(身体組織そのものに生じた損傷)とは異なり、普段の生活でだんだん痛みに慣れてくることが多く、一生治らないとはいえないという判断によるものと言われています。
そして、保険会社もこの裁判所の判断に乗っかって、当然のように労働能力喪失期間を制限した示談案を提示してきます。

もっとも、すべてのむち打ち症状で痛みがなくなっていくわけではなく、個々の怪我の大きさ次第となりますし、仮に制限されるとしても何年とすべきかは個別判断となるはずです。
さらに、保険会社は、神経症状以外の場合ですら特に理由なく労働能力喪失期間を制限してくるケースも多々あります。

ですので、保険会社が提示してくる示談案の中には、弁護士が精査すれば労働能力喪失期間が大幅に伸び、後遺障害逸失利益が倍近くになるケースも少なからずあるのです。

次回は、弁護士に依頼することで後遺障害逸失利益の金額が非常に大きく変わるケースの二つ目、②基礎年収をいくらとするか、についてお話しします。