交通事故の損害賠償について~その10

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その10」として、「後見等関係費用」についてお話をさせていただきます。

後見関係費用が問題になるのは、交通事故の被害者が高次脳機能障害などで自ら有効な意思表示ができなくなってしまい、法律上有効な意思表示を行うために成年後見の申立てを行った場合です。

高次脳機能障害については、その症状の重さや程度はケースによって様々ですが、重篤なものだと寝たきり状態になってしまったり、記憶が亡くなってしまったりするようなものがあり、このような状態では法律上有効な意思表示をすることができないため、被害者本人に代わって責任をもって意思表示を行うことのできる成年後見人をつける必要があります。

成年後見の申立ては裁判所に対して申立てのための費用を払って申立てを行わなければならず、家族が成年後見人に着任するケースを除いては、後見人に対する報酬の支払いが必要になります。

そのため、重篤な高次脳機能障害の後遺障害が認定されたような場合には、被害者本人またはその家族において、後見に関係する様々な費用を負担することになるため、この費用を相手方保険会社に対して賠償請求することが可能です。

次回は、交通事故の損害賠償における「給与所得者の休業損害」についてお話させていただきたいと思います。