交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント9(後遺障害申請の手続き)

弁護士法人心の池袋法律事務所で所長弁護士をしている、弁護士の田中です。

年間で300件以上の交通事故の案件を集中的に取り扱っている経験から、交通事故に関して皆様へぜひ知っておいていただきたいことをお話させていただきます。

前回は、「後遺障害申請のための資料収集にかかる時間」として、「診断書等の作成のため、最短でも症状固定日の翌月末までは待つ必要がある」とお話ししました。

今回は、「後遺障害申請にはどれくらい時間がかかるのか」その2として、申請してから認定されるまでにかかる時間と手続きについてお話しします。

申請書類は、まず相手が加入する自賠責の保険会社(相手方の任意保険会社とは別)へ送られ、必要書類が整っているかどうか確認されたのちに自賠責損害調査事務所へ送られます。

自賠責損害調査事務所は、全国計54か所もあり、その上には全国7か所の地区本部、そのまたさらに上には東京に本部があります。

調査事務所では、申請書類に基づいて事故発生状況、自賠責保険の対象となる事故かどうか、傷害と事故との因果関係の有無、後遺障害の該当性などの調査がなされます。

一般的なむちうちの案件の場合、調査にかかる期間はおおよそ1~3か月程度となることが多いですが、繁忙期にはそれより長く掛かる場合もあります。

また、案件によっては地区本部や本部に移送されて判断がなされることもあり、その場合はプラス1~2か月ほど掛かることが多いです。

地区本部等に移送される案件は、等級認定に難しい判断が要求されるため調査事務所では判断ができない案件とされていますが、移送されたから後遺障害等級認定は難しいといったことは決してありません。

実際に、私が担当した案件で地区本部での判断となり、結果として等級が認定されたものが何件かあります。

認定結果が出たら、調査事務所から自賠責の保険会社へ認定結果が送られ、等級が認定された場合はその等級に対応する保険金(例えば、14級なら75万円)は支払われたうえで、認定結果が書面で送付されます。

したがって、後遺障害申請から認定結果が届くまでの期間は、最短で1か月半程度、長ければ半年程度かかることになります。 次回は、後遺障害の認定結果が出たらどうすべきかについてお話しします。