交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害)3

弁護士として交通事故の案件を数百件以上集中的に取り扱ってきた経験をもとに,交通事故の被害に遭ってしまった際に後悔しないよう,皆様へぜひ知っておいていただきたいことをお話させていただきます。

前回は,「後遺障害申請に最低限必要な書類は決まっているが,それ以外に補足書類を付けて出すことは制限されていない。」とお話ししました。

今回は,「後遺障害として認定してもらうために注意すべきこと(申請方法)」についてお話しします。

そもそも,後遺障害の申請には,方法が二つあります。

一つは,相手方保険会社が被害者に代わって申請を行う「事前認定」,もう一つが被害者やその代理人(弁護士など)が申請を行う「被害者請求」です。

前回,後遺障害申請に必要な書類をお話ししましたが,もし「事前認定」で申請を行う場合は,被害者が書類を揃える必要はほとんどありません。

そのように聞くと,「事前認定のほうが楽そうだから,わざわざ手間をかけて被害者請求をするメリットはないのではないか。」と思われるかもしれませんが,事前認定には次のようなデメリットがあります。

それが,「事前認定の場合,どういった補足資料を添付されるか確認できない。」という点です。

前回お話ししたとおり,後遺障害申請に最低限必要な書類は決まっていますが,それ以外に資料を出してはいけないわけではありません。

相手方保険会社としては,もし後遺障害が認定されれば,それに伴って支払うべき損害賠償金が増えることになりますので,申請に際してできるだけ認定されないように働く可能性があります。

例えば,相手方保険会社が主治医に医療照会して得た回答書のうち,被害者に不都合な部分をマーカーで強調して出したり,担当者と被害者との電話での内容を一部切り取って,後遺障害認定に不利な事情として出したりすることが可能なのです。

一方で,被害者請求の場合は,必要であれば事故の大きさを示す資料(損傷した車両の写真や修理代明細など)や病院で取り付けたカルテなどを,有利な資料として添付することができます。

したがって,後遺障害を認定してもらう可能性を少しでも高めたいのであれば,申請を相手方保険会社に任せるのではなく,被害者請求を行うべきであり,治療終了時に相手方保険会社に対し「後遺障害申請は被害者請求で行います。」と伝えておくことが必要です。

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交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害)2

これまでに,交通事故の案件を数百件以上集中的に取り扱ってきた弁護士が,もし交通事故の被害に遭ってしまった場合のために,後悔しないように皆様へぜひ知っておいていただきたいことをお話させていただきます。

前回は,「後遺障害とは,自賠責で認定されたもののみを指す用語で,後遺症とは違う」とお話ししました。

今回は,「後遺障害として認定してもらうために必要なもの」についてお話しします。

後遺障害の申請をするためには,まず申請書類をそろえる必要があります。

具体的には,

① 自動車損害賠償責任共済支払請求書兼支払指示書

(請求者や相手方の氏名,相手方の自賠責保険証明書番号等を記載するもの)

② 申請者の印鑑証明書

(①には印鑑登録された印で捺印する必要があるためです。)

③ 交通事故証明書

(自動車安全運転センターで発行してもらうもので,郵便局,各都道府県の自動車安全運転センター窓口,インターネットで申し込みができます。)

④ 事故発生状況報告書

(事故現場の状況を簡単な図と文章で表したもの)

⑤ 自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書

(指定の書式で,主治医に記載してもらうものです。)

⑥ 事故で通院したすべての医療機関の診断書,診療報酬明細書

(指定の書式のもので,相手方保険会社が治療費を支払っている場合はその保険会社が原本を持っていて,要求すれば基本的に写しをもらうことができます。)

となります。

⑦ 事故で撮影したレントゲン等の画像資料

(申請時に画像資料を送っていなくても,後から「〇〇病院で撮影した画像を送ってください。」という依頼が自賠責調査事務所から来ますので,その際に取り付けて送っても構いません。前者の方が手続きは早く進みますが,後者の場合は取り付けに要した費用が後に自賠責調査事務所から支払われます。)

となります。

ここで重要なのが,上記①~⑦までの資料はあくまで「最低限必要な書類,資料」であり,それ以外の補足資料を付けることは制限されていないということです。

次回は,このことと関連して,「後遺障害として認定してもらうために注意すべきこと」についてお話しします。

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交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(後遺障害)1

交通事故の案件を集中的に多数取り扱ってきた弁護士が,交通事故の被害者となってしまった場合のために,後悔しないように皆様へぜひ知っておいていただきたいことをお話させていただきます。

前回は,「相手方保険会社の担当者と話す際には注意しつつ,正確な情報を適時伝えることが重要である。」とお話ししました。

今回は,「後遺障害とは何か,後遺症との違い」についてお話しします。

主治医や相手方保険会社担当者との話し合いにより,適切な期間の治療を認めてもらい,怪我が幸いにも完治した場合はよいのですが,怪我の内容や程度,被害者のご年齢等の事情で,これ以上治療してもよくならず,今後も持病として症状が残存してしまうことがあります。

この残存してしまった症状のことを,一般的に「後遺症」と呼びます。

そして,自動車事故による怪我で後遺症が残った場合に,相手方加入の自賠責保険会社に対して「後遺障害」の申請をし,認定を求めることができます。

このように,「後遺症」と「後遺障害」は,言葉はよく似ていますが,前者は症状が残っていることを指す一般的な用語であり,後者は自動車事故による「後遺症」のうち,自賠責の審査を経て認定されたもののみを指しますので,厳密には違いがあります。

しかし,この違いについて医師もよく分かっていないことがまれにあり,患者さんに正確に説明できなかったために,「医師から,『あなたの症状は後遺障害にあたる。』と言われたから,私の症状はもう後遺障害として認定されている。」と誤解していらっしゃる方もいるようです。

確かに,主治医から見て後遺症が残っていると判断されなければ,後遺障害診断書を記載してもらえませんので,医師による判断は必要不可欠です。

しかし,医師による上記診断があることは,後遺障害申請のための一要件にすぎませんので,それがあれば必ず認定されるというものではないのです。

次回は,「後遺障害として認定してもらうために必要なもの」についてお話しします。

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