パートをしている主婦が交通事故に遭った場合の休業損害の計算方法
1 休業損害について
交通事故の被害に遭われた方で、ケガを負ってしまった方は、事故前のとおりには、パートを休んだりしなくてはならないことがあります。
そのように、休んでしまったために収入が減ったという損害のことを、休業損害といいます。
休業損害は、事故日からケガが治る日(治癒日、完治日)、あるいは後遺障害の症状固定日までの期間に発生した収入の減少額を損害として把握されるものです。
この休業損害についても、交通事故の加害者側に賠償金を請求することができます。
2 休業損害額の算定方式
休業損害額の算定方式は、大まかに分類しますと、以下の2パターンあります。
⑴ 収入日額×認定された休業日数
収入日額について争点となることもありますが、ここでは割愛させていただきます。
休業日数については、事故日から治癒日あるいは症状固定日までの期間に休んだ日すべてが無条件に認定されるわけではありません。
原則として、通院や自宅療養のために休んだ場合など、休業する必要性及び相当性がないと休業日数として認定されません。
⑵ 逓減方式
逓減方式とは、例えば、家事労働のように毎日行われるものについては、通常、ケガの影響は日々改善していくものなので、全部の期間100%休業損害として賠償されることは、損害の公平な分担という不法行為の概念から適当ではありません。
このような場合には、例えば、事故から60日間は100%影響があり、その後60日間は80%影響があり、その後90日間は40%労働に影響がでたと擬制して計算することがあります。
※期間や割合は事案ごとに変動します。
3 主婦の休業損害について
⑴ パートを休んでいない場合
事故日から治癒日あるいは症状固定日までの収入の減少額を休業損害とするなら、周りに迷惑をかけたくないということで、何とかパートは休まずに出勤して、パート収入は減少してないけれど、家での家事労働については、体の痛みやしびれが辛かったので、家族(夫、親や子供など)に代わりにやってもらったとか、掃除、洗濯、料理を作る頻度を減らして何とか家事をやりくりした場合などには、休業損害は一切賠償してもらえないのでしょうか。
このような場合には、収入日額が0円になるので賠償してもらえないようにも思われます。
しかし、交通事故の損害賠償実務ではそのような取り扱いはしておりませんのでご安心ください。
交通事故の損害賠償請求の実務本である赤本には、基礎日額は、女性の賃金センサス(学歴計、年齢計)を使用すると記載されています。
※男性の家事従事者であっても、女性の賃金センサスを使用します。
したがって、パートを休んでいなくても、兼業主婦の方で、自分以外の他人のために家事労働を行っている場合には、収入日額が約1万円となります。
認定休業日数については、争われることが多いので、交通事故に強い弁護士に交渉を任せた方がいいでしょう。
⑵ パートを休んだ場合
パートを休んだ場合には、パートの収入日額を計算しますが、家事従事者の収入日額約1万円より低い金額になることがほとんどだと思われますので、主婦の収入日額を主張した方がいいでしょう。
4 休業損害についてお困りなら当法人へ
パートをしている主婦の方の休業損害について、妥当な金額を受け取るためには、相手方の保険会社としっかりと示談交渉を行っていく必要が出てくる場合が多くあります。
当法人の弁護士は、休業損害についても適切に交渉していきますので、池袋でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
交通事故に強い弁護士が丁寧に対応いたします。
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