高次脳機能障害の等級が認定されない場合の対応
1 等級が認定されなかった場合
自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」といいます。共済を含みます。)に高次脳機能障害につき後遺障害申請したものの、高次脳機能障害の等級が認定されず、異議申立てでも認定されなかった場合の訴訟についてご説明していきます。
2 裁判所への訴訟提起
高次脳機能障害につき後遺障害申請をしたが、自賠責保険において等級が認定されなかったとしても、裁判所において後遺障害として認められているケースも存在しています。
裁判所は、自賠責保険の認定に拘束されるわけではなく、裁判手続きにおいては自賠責保険の認定はあくまで考慮要素の1つに過ぎないため、訴訟提起をして裁判手続きの中で後遺障害として認めてもらえる見込みがないかどうかを検討していくことになります。
自賠責保険においては、画像所見のないケースですと後遺障害非該当の判断になるものが大半ですが、ここでは、画像所見はないものの意識障害が認められるケースで、自賠責保険では非該当の判断がなされたものの裁判所が後遺障害を認定したものとして、裁判例を1つ紹介いたします。
東京地裁平成21年3月31日判決は、「記憶障害、学習障害、注意障害、遂行機能障害、社会行動能力の低下、持続力の低下、知能低下といった症状は、本件事故の衝撃は大きかったこと、本件事故により原告は頭部外傷を負ったこと、本件事故直後意識障害があったこと、本件事故直後から記憶障害があること、SPECTでは、両側の頭頂-後頭葉領域に血流低下が認められること、本件事故以前には記憶障害等の上記症状は認められなかったことから、本件事故により負ったびまん性脳損傷(脳震とう)に基づく高次脳機能障害の症状であると認めるのが相当である」として、外傷性の画像所見がないケースで後遺障害を認定しています。
このケースでは、①事故による頭部外傷の発生、②意識障害の存在、③記憶障害の存在、④SPECTの機能画像検査の結果、といった事実に裁判所が着目していることが分かります。
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