障害年金の永久認定
1 障害年金の認定には種類があります
障害年金という言葉には、「年金」という言葉が使われているため、一度認定がされれば、通常の老齢年金のように、今後一生涯受け取ることができるものという印象を持っておられる方もいると思います。
実際のところは、障害年金の場合、期限が定められた有期認定の場合と、更新手続きが不要の永久認定の場合に分けられています。
なぜ期限のある有期認定と、永久認定に分けられているのか、また、どのような場合に永久認定となるのかについて、以降で説明していきます。
2 多くの場合は有期認定とされています
実務上は、有期認定の場合が多いものとされています。
これは、症状経過の確認が必要な場合が多いためであると考えられます。
傷病の種類によっては、時間の経過とともに障害の症状が重くなったり軽くなったりするなど、症状が変化することがあります。
例えば、うつ病などの精神疾患等については、体調や環境などによっても症状の経過も大きく変わりうるものとされています。
そのため、精神疾患に関しては、症状の変化が比較的大きいものと考えられており、認定に関するガイドラインが設けられる等、慎重な審査が必要で、総合的な認定とされているところです。
参考リンク:日本年金機構・『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等
また、当然、認定後についても症状の変動は予定されているといえます。
そのため、一定期間経過後の時点で、症状についての確認が必要と考えられる場合には、有期認定とされます。
このような一定期間経過後の症状の確認が必要と考えられる傷病の方が多数であるため、認定についても大半が有期認定になっているといえます。
3 どのような場合に永久認定となるか
上記のとおり、多くの事例は有期認定とされており、基本的に一定期間経過後の症状の状況確認を要することがその理由の1つと考えられます。
逆に言えば、症状の変動、改善がほとんど見込まれないと考えられる類型については、永久認定となる場合が多いということになります。
典型的な事例としては、四肢の切断等が挙げられます。
将来的な医学の進歩による失われた四肢の再生の可能性などは分かりませんが、少なくとも現時点では、四肢を失った後の再生は見込まれないといえますので、永久認定となると考えられます。
永久認定された後に、万が一症状が悪化した場合は、額改定請求を行うことができます。
ただし、額改定請求を行うためにはいくつかの条件を満たす必要があります。
また、額改定請求は必ずしも認められるわけではありませんし、審査の結果、永久認定ではなく有期認定に変わってしまうケースもあります。