交通事故に遭った!まず何をする?その5

最近の東京は暑すぎます。

毎日祈るような気持ちで(今日こそは過ごしやすい気温であってほしいとの願いを込めて)天気予報を見るのですが、ほぼ毎日その祈りもむなしく非情な気温が表示され、日々打ちひしがれています。

ところで、今日のブログは、交通事故に遭ったらどうするか第五弾として、警察でどうすればよいのかについてお話しします。

日々のご相談のうち、交通事故での警察での対応で一番よく聞かれるのが、「人身事故にすべきか、物件事故でもよいのか。」です。

交通事故で怪我をしてしまった被害者の方に対し、相手方保険会社の担当者から、「物件事故のままでも問題なく損害賠償金は支払われますので、あえて人身事故にしなくてもよいですよ。人身事故にすると実況見分などで時間を取られるので面倒ですよ。」などと言われたり、相手方本人から「免許の点数に響くので物件事故のままにしてほしい。物件事故のままにしてくれたら賠償は上乗せして払う。」と言われたり(十中八九示談で上乗せなんかしてくれないので信じないように!)、はたまた警察で「人身事故にするには当事者双方が警察署に来なくてはならないので、被害者の方だけが来ても対応できません。加害者の方を説得して一緒に来てください。」などと言われたりすることもあります。

これらの発言を聞くと、面倒くさそうだし、とくにデメリットがないなら物件事故のままでよいかなと思ってしまいそうになりますが、ちょっと待ってください。

結論から先に話すと、被害者側であれば人身事故にしておくのがオススメです。

人身事故と物件事故で何が違うのかと言うと、加害者側の観点からすると、人身事故になると、免許の点数に響いたり(行政罰)、ひどい事故対応だと刑事責任が問われたりすることがあります。

つまり、ぜひ加害者側としては人身事故は避けたいところです。

では、被害者側からはどうでしょうか。

人身事故にしておくと、「実況見分」がされて、警察によって事故状況がきちんと記録されます。

実況見分調書では、事故状況についての現場見取図が作成され、衝突の位置などが数値とともに記録されるだけでなく、事故状況についての双方の言い分が記録されます。

そのため、事故状況について争いがある際に、現場見取図をもとに過失を立証することが可能なだけでなく、加害者が事故状況について言い分を変えてくるのを防ぐことができます。

さらに、人身事故にせず、物件事故にしておくと、後遺障害が問題となったときに軽い事故と判断される可能性が高まります。

後遺障害の認定において、後遺障害の有無や程度を判断する大きな要素として、「後遺障害は生じるほどの大きな事故だったか。」という要素があります。

一般的に、大きな事故でそれなりの怪我を負ったならば、人身事故として届け出をするだろうという推認が働くことから、物件事故のままということはそこまで大きな事故ではなかったのではないかと考えられてしまう恐れがあります。

したがって、半年以上痛みが続きそうな大きな怪我を負った場合には、人身事故にしておくのが安全といえます。

最後に、よく警察で言われることとして上に挙げた、「被害者と加害者が両方一緒に来ないと実況見分ができない。」というのは誤りです。

もしそうだとしたら、ひき逃げの場合はどんなに怪我がひどくても人身事故にできず実況見分調書も作成されないことになってしまいます。

もしそう言われた場合はこのブログを思い出して「弁護士がそんなことはないと言ってました。」と自信をもっておっしゃってくださいね。