交通事故で怪我をしたときに注意すべきポイント(弁護士基準①)

12月は師走といいますが、この時期は保険会社も年内に示談をまとめてすっきりしたいからか、交渉が進むテンポが比較的速く、電話もひっきりなしに掛かってくるため、弁護「士」も事務所の中を駆け回って大忙しです。

さて、前回は損害賠償金の「自賠責基準」についてのお話をいたしました。

今回は、「弁護士基準(裁判所基準)」についてお話しいたします。

まず、弁護士基準とは、弁護士が代理人として相手方保険会社と交渉する際に用いられる基準です。

裁判になった場合に裁判所が用いる基準と同じことから、裁判所基準とも呼ばれます。

基準自体は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)と呼ばれる、過去の裁判例を集積して作成された算定基準が記載された本に基づいています。

この本自体は、発行元である日弁連交通事故相談センター(東京の弁護士会館にあります)で誰でも購入することができますし、どうやらフリマサイトなどでも売っている方がいらっしゃるようですので、一般の方も入手自体は可能です。

そのため、これを用いて弁護士でない一般の方が交渉してもよさそうですが、なぜかどの保険会社も「弁護士基準で主張したいなら弁護士を入れるか裁判を提起するかどちらかにしてください。そうでなければ交渉できません。」と言ってきます。

長年交通事故の案件を取り扱っていますが、一般の方で弁護士基準を用いて交渉に成功したという話は残念ながらまだ聞いたことがありません。

(弁護士が事故の当事者なら弁護士基準で交渉できるのでしょうか?私は幸いにも弁護士になってからはまだ事故に遭っていないので、試してみたことはありません。)

次回は、弁護士基準と自賠責基準でどのような項目の金額が変わるのかについてお話しいたします。

今年も当ブログをお読みいただきありがとうございました。来る年もどうぞよろしくお願いいたします。