「債務整理」に関するお役立ち情報
債務整理中に転職した場合の影響の有無
1 債務整理中に転職できるか
債務整理を弁護士に依頼して手続きを行っている方や、これから債務整理をしようとしている方の中には、近い将来転職を考えている方もいるのではないでしょうか。
債務整理中は、手続きが終わるまで生活を変えてはいけないのではないかとお考えの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、実際は債務整理中であっても、就職活動や転職活動をすることは可能ですし、もし就職が決まった場合は、実際に仕事を始めることも問題ありません。
ただし、自己破産の場合は一部職業について制限が生じることと、任意整理・個人再生の場合は、転職によって収入額に変動した際に手続きに影響が生じる可能性があることに注意が必要です。
以下、債務整理の種類ごとにご説明します。
2 任意整理中に転職した場合
任意整理は、弁護士が貸金業者と交渉を行い、残債務額の返済について、分割回数を増やすことで毎月の返済額を減らすよう求めたり、将来利息のカットによって完済しやすい返済計画に組み直したりする手続きです。
自己破産や個人再生とは異なり、裁判所を利用する手続きではないので、転職に制限がかかることはありません。
そのため、任意整理中に転職することは、法的には制限されていません。
ただし、転職によって収入に変動が生じる場合には、返済計画の内容に影響が出ることになります。
転職によって収入が増える場合には、通常は返済可能額も増えますので、任意整理に悪影響が出ることはないと思われます。
他方、転職によって収入が減ったり、不安定になったりする場合は、当初予定していた返済計画どおりの返済ができなくなる可能性が出てくることになります。
その場合は、任意整理を諦め、個人再生や自己破産といった他の手続きを検討することになります。
3 個人再生中に転職した場合
個人再生においても、転職が法的に制限されることはありません。
そのため、個人再生中に転職をすることは自由であるといえます。
しかしながら、個人再生、特に給与所得者等個人再生の場合には、転職することによる影響は大きく、場合によっては、給与所得者等再生の手続きを進められなくなってしまうこともあります。
なぜなら、給与所得者等個人再生は、定期的な収入を得ることができ、かつ、その変動の幅が少ないことが、裁判所に再生計画を認可してもらうための要件となっているからです。
転職によって、収入の変動の幅が大きくなる場合は、個人再生の手続きを進めていけないこともありますので、特に注意が必要になります。
4 自己破産中に転職した場合
自己破産中も、就職したり転職したりすることは可能です。
もっとも、任意整理や個人再生の場合とは異なり、自己破産の場合は少し注意が必要になります。
なぜなら、自己破産には、資格制限があるからです。
資格制限とは、自己破産の手続き中に、一定の仕事につけなくなる制限です。
資格制限によりその資格を用いて働くことができなくなる類型には、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、宅地建物取引士、不動産鑑定士等の士業や、警備員、生命保険外交員、銀行等の役員等の他人の財産を扱う職業、公証人や公正取引委員会の委員等の特定の公的な業務を行う職業などがあります。
とはいえ、資格制限を受けるのは原則として一定の期間のみとなります。
資格そのものを失ったり、永久にその職業に就けないというわけではありませんので、多くの場合は一時的に休職・転属をする等で対処が可能です。
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